フットインザドアとは?ドアインザフェイスとは?
フットインザドアとは、小さな依頼から始め、最後に大きな要求を通す心理術。
心理テクニックの一つであるフットインザドアについて解説します。
フットインザドアの定義
フットインザドアはセールスマンも活用する心理テクニックで、日常のちょっとした場面や恋愛など多岐に渡ります。
フットインザドアとは、新規のセールスや他の人への依頼などの交渉や要求を通す場面に、本命の要求を通すため、簡単な要求からスタートし、段階的にその要求レベルを上げる方法です。
本命の要求(=自社の商品を買ってほしい!)の前に簡単な要求(ドアに足をかけたらあとはこちらのものという意味の英語、「put foot in the door」から始めて段階的に実行、ということです。
フットインザドアは心理学における一貫性の原理を活用したテクニックです。
人間は無意識のうち態度や行動に一貫性を持たます(=一貫性の原理)。
これは人から何かを頼まれたときも同様で、まず小さな依頼に対応した場合、その後の大きな依頼も聞かないといけないという風に感じてしまいます。
最初の要求は最終的に相手に受け入れてほしい要求を逆算して設定しましょう。
フットインザドアテクニックにおいては最初の要求は相手に受け入れられやすいものでなくてはなりません。
ですが、かといって最終的に受け入れてほしい要求からかけ離れては、その本命の要求を断られる可能性が高くなります。
例えば本命の要求が「商品を1年間契約してほしい」だった場合、最初「商品を1日だけ契約してほしい」と小さいものにすると、要求の差異が大きすぎて上手くいかない可能性が高いです。
要求の差異が大きすぎると失敗してしまう可能性が高くなるため、徐々に要求を大きくしていくことがポイント。
先ほどの事例で言えば、「商品を1日だけ契約してほしい」と最初の要求を小さくし過ぎた場合、次の要求を「商品を1ヶ月実際に契約してほしい」とすることで本命の「商品を1年間契約してほしい」という要求に繋げられます。
フットインザドアを活用するとき、アンダーマイニング効果に注意。
アンダーマイニング効果とは自分からやりたいと考える内発的動機づけにより行われた行為に対し、他者から与えられる報酬や評価が原因となる外発的動機づけを行うことで内発的動機づけの効果が小さくなる現象のことを指します。
先ほどの例でいえば、「商品を1日だけ契約してほしい」という部分が「商品を無料で使ってほしい」に代わった場合、元々はその商品に興味があり、購入意欲があったのに、無料という特典を与えることで、自発的にその商品を使っている、という意識が薄れます。
これにより本命の要求「商品の1年間の契約」にたどり着けない可能性が出てきます。
フットインザドアの活用事例
お試し期間 「この商品をまずは使っていただいた上で検討ください」は定番的なセールス文句ですが、いきなり長期間の契約となるのではなく、試して正式な契約を促すことで、正式契約の確率がアップします。
メルマガの登録を促す場合の手法もフットインザドアを活用してます。
最初はメルマガの内容に関するサンプルや試し読みを読者に提供、その後正式な登録に誘導、自然な流れで促せます。
化粧品などでよくある試供品もフットインザドアの活用事例です。試供品を手にとって試しに使って、購入を勧められると購入率が上がります。
テクニックの実践方法
最終的な目的が商品の契約だとします。
いきなり商品のセールスをすると断られてしまう可能性が高いです。
名刺の手交など金銭的な支出が発生しない行為を実行し、商品の説明やお試しの利用を段階的に促すことで、最終的に商品契約に至ることができます。
恋愛(デートのお誘い) 恋愛においてもフットインザドアを活用できます。
気になる人に対して、いきなりデートに誘っても断られる可能性が高いですが、小さな依頼(例えば相手が持っている本を貸るなど)の後に、「この本すごく面白かった!ありがとう。
「御礼に食事でもどう?」と本命のお願いをし、OKしてもらえる可能性を上げます。
小さな依頼に承諾してもらって、デートも承諾しやすくなるというわけですね。
ドアインザフェイスの意味
フットインザドアと似た言葉でドアインザフェイスがあります。この言葉は「shut the door in the face(門前払いする)」という言葉が由来となっており、まず過大な要求を行い、相手に断られた後に本命の要求をすることで、本命の要求に従わせる手法です。
大きな要求→譲歩して小さな依頼(返報性の原理) ドアインザフェイスは「返報性の原理」を活用しています。返報性の原理とは人間は相手から受けた施しに対して、「お返し」をしたいと感じる心理のことで、ここでは「断ってしまって申し訳ない」という気持ちを本命の要求の承諾に繋げています。
目上の人にはフットインザドアを利用 ドアインザフェイスとフットインザドアの使い分けですが、相手によって使い分けるとよいでしょう。
上司などの目上の人相手に過大な要求をしては、信頼失墜に繋がりかねませんし、部下に対して返報性の原理は働きづらいものです。
目上の人には段階的に要求を上げていくフットインザドアテクニックを活用するのがよいでしょう。
小さい提案を大きくするフットインザドア、譲歩による交渉ドアインザフェイス、案件、相手によって上手に使い分ければ要求を通しやすくなるでしょう。